アート系校閲女子コンビが注目する「2019年度下半期オススメ美術展」
ここ数年、「アート」にふれることは趣味としてだけではなく“ビジネスにおける教養”、つまり「ビジネススキルの一環」となってきました。
それに着目し、これまでもいくつも『ビジネス×アート』に関する記事を書いてきたのが、Proof Readerの芸術担当ライター・Kaoさん。
今回はそんな彼女にこの秋冬(2019年10月~2020年初め)のオススメ展覧会を、こちらもアート大好きすずかすてらが聞いてみました。
■美術にちょっと興味がある人向け
『コートールド美術館展 魅惑の印象派』
2019年9月10日(火) ~ 12月15日(日)@東京都美術館
めったに貸出されることのない印象派・ポスト印象派の巨匠たちの名作が美術館改修工事のために来日しています。美術好きも必見!です。
目玉はマネの《フォリー=ベルジェールのバー》です。鏡写しの構図の巧みさ、神秘性、19世紀末の華やかなパリの風俗を垣間見れる点など、人生で一度は見ておきたいマネ晩年の傑作。
他にも日本で幅広い世代に人気の印象派の作品<ルノワール、セザンヌ・・・>が来るので混雑必至。早めに行くことをおすすめします。
私的にセザンヌの『カード遊びをする人々』やドガの『舞台上の二人の踊り子』に心躍ってます。
混み具合は公式ツイッター(@courtauld2019)でチェックできるので、行く前に確認するといいですよ。
※詳しくは『コートールド美術館展 魅惑の印象派』公式サイトをチェック!
『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』
2019年9月21日(土)~ 11月17日(日)@森アーツセンターギャラリー
わずか10年の活動期間に、2000点を超えるドローイングと1000点以上の絵画作品を残した夭折の天才として、近年ふたたび注目を集めるジャン=ミシェル・バスキア(1960〜1988)。
その日本初回顧展であり、バスキア研究の世界的権威ディーター・ブッフハート氏が、バスキアと日本との多方面にわたる絆、そして日本の豊かな歴史や文化がその創作に及ぼした知られざる影響を明らかにし、世界各地から集めた約130点の絵画やオブジェ、ドローイングで構成。単なる巡回展ではないオリジナルの展覧会です。
目玉は元ZOZO社長の前澤友作氏が123億円で落札した《Untitled》(1982)
「Yusaku Maezawa Collection, Chiba」←クレジットのコレクション名・・・ぜひ何をお持ちか見せていただきたいですね。
今季はZARAでもバスキアの絵とコラボした商品を見かけました。コラボしやすい作風なので、他の企業ともタイアップしているかもしれません。この路線で押してもいいかも。
『カルティエ、時の結晶』
2019年10月2日(水)~ 12月16日(月)@国立新美術館
悠久の時間を経て生成され奇跡的に見出された宝石と、世界各地の自然物や文化などから着想を得たデザインが、卓越した職人技術によって結実したカルティエの宝飾——それはいわば世界の縮図であり、地球や文明との時空を超えた対話であるといえます。
(『カルティエ、時の結晶』公式サイトより)
30回以上もの展覧会を開催してきたカルティエですが、今回初めて、“1970年代以降の現代作品のデザイン”をフィーチャーして、展覧会を開催します。
ハイジュエリーの代表格、女性の永遠の憧れ。新美術館はジュエリー系の展示は得意なのでうまくまとめてくれると期待しています。
■美術がどっぷり好きな方向け
『日本・オーストリア友好150周年記念
ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史』
2019年10月19日(土)~ 2020年1月26日(日)@国立西洋美術館
広大な領地を支配下に収め、神聖ローマ帝国を代々世襲するなど、ヨーロッパの歴史の表舞台で常に脚光を浴びてきたハプスブルク家600年の至宝を展示。
目玉はベラスケスの《青いドレスの王女マルガリータ・テレサ》。肖像画が多いようですが、そこに描かれているのも歴史上でビッグネームな方々ばかりなので歴史好きにもおすすめ。欧州ナンバーワンの名家のパワー、かつての威光を存分に見せつけてくれることを期待しています。
※詳しくは『日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史』公式サイトをチェック!
『カラヴァッジョ展』
北海道・名古屋・大阪
西洋美術史における最重要画家のひとり、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。
彼は17世紀バロック絵画を開拓し、同時代や後世ヨーロッパの画家たちに多大な影響とインスピレーションを与えました。そんな天賦の才を発揮した彼ですが、気性がとても激しく、周囲との争いや暴力沙汰も絶えませんでした。そしてついには殺人というスキャンダラスな事件まで起こしてしまいます。この展覧会では、そんな栄光と狂乱に満ちたカラヴァッジョの激動の生涯にも注目します。
「なぜ東京に来てくれないのか、そしてなぜ名画が会場ごとに分散しているのだ!」と嘆きたくなりますが、カラヴァッジョの絵は現存数がとても少なく、一点の価値が半端ないのです。
フェルメールのように、人生で一点残らず鑑賞コンプリートしようとしている学者さんも多いんですよ。
たしかにこのカラヴァッジョ展、
・札幌展:2019年8月10日(土)〜 10月14日(月・祝)@北海道立近代美術館
・名古屋展:2019年10月26日(土)〜 12月15日(日)@名古屋市美術館
・大阪展:2019年12月26日(木)〜 2020年2月16日(日)@あべのハルカス美術館
・・・関東には回ってこないようですね。
《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(名古屋会場のみ)、《執筆する聖ヒエロニムス》(大阪会場のみ)・・・ものすごい大作です。美術史の教科書には絶対載っています。
(編集部注:札幌展ではいくつかの作品がイタリア側の都合で日本に届かなかったらしく、展示されませんでした。
(札幌展 到着遅延作品 展示断念のお知らせ)
当初のニュースリリースでは大阪のみ展示予定だった《ホロフェルネスの首を斬るユディト》も公式サイトから消えているので、ちょっと怪しいかもしれませんね・・・)
私も過去展に行っているのでまた、あの絶妙すぎと感嘆するドラマチックな光の入れ方と構図、そして “人間味溢れる表情の絵画が見たい!日本初公開が見たい!!” です。
いい機会なので旅行も兼ねて足を運んでもよいかもですね。
その他、注目の展覧会はコチラ。
<対抗>
『ゴッホ展』
2019年 〜
『特別展 ミイラ』
2019年11月2日(土)〜 2020年2月24日(月・休)@ 国立科学博物館
『Bunkamura 30周年記念 建国300年
ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展』
2019年12日(土) ~ 1223日(月)@Bunkamura ザ・ミュージアム
<ちょっと渋めに>
『ラウル・デュフィ展― 絵画とテキスタイル・デザイン ―』
2019年10月5日(土)~ 12月15日(日)パナソニック汐留美術館
<大穴>
『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか』
2019年11月19日(火)~ 2020年3月29日(日)
感性を磨いたり、心癒されたり、ビジネスの武器としても使えたり。
アートって奥深いですね♪