【体験】歌舞伎経験者と初心者で「歌舞伎座」へ行ってみた
400年以上の歴史がある日本の伝統芸能 「歌舞伎」。
新型コロナの影響でお休みしておりましたが、やっとこの8月より再開!
ということで、今回は『ダンラク』ライターの「すずかすてら」と「m.c.」の2人が2020年歌舞伎座の「二月大歌舞伎」に行ってきた様子をご紹介。
(編集部注:この観劇は2020年2月のものなので、8月以降の再開後とは上演形態などが若干異なっています)
まだ歌舞伎を観たことがないという人にも、歌舞伎のすばらしさをお伝えしていきます!
歌舞伎初心者からの素朴な質問
ちなみにm.c.は歌舞伎5回目、すずかすてらは初の歌舞伎観賞だそう。
初心者すずかすてらは、道すがら、気になることをおそるおそる聞いてみました。
いままで歌舞伎を観る機会がなく和といえば能、狂言と大衆演劇しか体験したことがないのでドキドキしてきました。
早速、m.c.さんに質問がございます。歌舞伎を観るときのマナーはありますか?
特に難しいマナーはないと思います。
しかし、周りのお客様のご迷惑にならないためにも、上演中の客席での小声での会話や物音には気を付けたいもの。
またついつい夢中になって前のめりの姿勢になること、そして帽子やお団子ヘアーなども後ろの座席の方の視界の妨げになります。このあたりのマナーさえ気を付ければOKです。
また、歌舞伎に行くときの服装はもちろん着物でなくてOK。
今回私たちが観覧する夜の部は、4:30~8:13と4時間弱の長丁場。なので歌舞伎を観にいくときは疲れないゆったりできる服装がベストだと思います。
歌舞伎は敷居が高いイメージがあると思いますが、歌舞伎観賞にドレスコードはないのです!
(とはいっても過度な露出や穴の空いたデニムなどは避けたいところ)
(編集部注:8月以降の再開後は4部制になるようです)
チケットの席、一等席、二等席とかはどういう配置でどこがいい席でしょう?
座席の種類は、一等桟敷席・一等席・二等席・三等A席・三等B席。
一等席が一番高く見やすいお席です。一番お安い三等B席は遠いのでやはり少し見づらいかも。
m.c.は普段あまり観劇する機会がないので、たまの観劇の際は奮発して一等席を購入しています。
(ちなみに、1階に二等席、2階に一等席もあるので座席選びの際はご注意ください)
筋書ってなんのことですか?
全ての演目の見所や解説が書かれているプログラムです。
各演目の配役やあらすじが丁寧に書かれており、ざっとでも読んでおくと演目の内容の理解が深まり、より一層楽しめるのでおすすめ。
そしてなんといっても、せっかく歌舞伎を観劇したのだから、観ただけで終わりにしちゃうのはもったいない!
買った筋書をまた見返すことでその時の歌舞伎の世界をまた味わえ、余韻に浸れます。
ぜひお土産に買ってみてはいかがでしょう。
やっぱりイヤホンガイドは借りた方がいいですよね?
初めて観劇するなら、借りるのがベスト。
ガイドは開演前から始まり演目の見所や上演中も登場する役者さんの名前や屋号も教えてくれます。
また、ガイドは常に流れているわけではなく、衣装の説明だったりストーリーの背景などの解説が絶妙なタイミングで入り、観劇の邪魔にならないところが驚きです。
質問攻めにする初心者。丁寧に答えてくれる経験者。
歌舞伎座に到着し、
2人でイヤホンガイド(公演中タイミングよく解説してくれる初心者必須アイテム)を借りてみました。
演目が始まる前に、あらすじや説明を聞いて、予習しときましょう。
2人の歌舞伎レビュー
さて、今回の演目は……
夜の部の演目
・八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)
・羽衣(はごろも)
・人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
・道行故郷の初雪(みちゆきこきょうのはつゆき)
観終わっての、2人の感想は……?
『八陣守護城』の演目のように、時代物はセリフが現代では聞き慣れない文語調で、さらに抑揚もあるのでついていくのが難しいんです。
筋書であらすじを把握するか、イヤホンガイドを借りて観たほうが楽しめますね。
ここでの主役(佐藤清正)のモデルが「加藤清正」と知るとちょっと歴史をかじった者としては興味津々。エピソードとして江戸時代も魅力的なんだなと思いました。
船上を中心とする舞台が華やかでちょうど向きを変えると同時に「ここが舞台の見せ所です」と解説が入るのに「迫力!」と納得し、面白かったです。
『人情噺文七元結』の演目のように世話物は初心者におススメ。テレビの時代劇のようなテンポのよい会話劇なのでイヤホンガイドがなくてもきっと楽しめるでしょう。
ちなみに、『人情噺文七元結』の原作は落語で、江戸っ子の心意気がたっぷり感じられる笑いと涙ありの人情喜劇。歌舞伎の演目では少ない、ラストはハッピーエンドなんです。
m.cさんもおっしゃっているように、ガイドがなくても会話が分かりやすい演目。
長兵衛さんはすごくお金にだらしないのに変に人が好くって、娘さんも奥さんも見放さないのはこういうところなんだな~、と。
どんでん返しのハッピーエンドが小気味良かったです。
さらに『羽衣』の演目のような『所作事(しょさごと)』はセリフが少なく舞踊中心の演目なので、役者の美しい踊りや着物をうっとり楽しむのも◎です。
日本昔話でぜったい観てる!お馴染みの天女シリーズの昔話でした。中学生の時に地方公演で舞を一度拝見した玉三郎さんが天女役で当時そのままの美しさにうっとり。
ガイト曰く「天女の舞は足さばきが難しい」とのことで、難しいようにみせないのが熟練芸の素晴らしさなんだと思い感銘しました。
逃避行物語の『道行故郷の初雪』は、白を基調にした舞台背景に、主人公の二人の衣装がまた素敵なのです。黒をベースにした着物に、さし色の赤が映えて美しすぎて儚かった。
特に吹雪く中、二人身を寄せ合う姿はこんなにも凛として、なんて綺麗なのだろうと惚けました。
あと、黒子が白子!?っていう演出の徹底ぶりに感心です。
※各演目のあらすじや解説は、歌舞伎座の公式サイトをご覧ください↓
幕間はどう過ごす!?
幕間は3回(20分、35分、15分)。
(編集部注:8月以降の再開後は幕間がないようです)
食事処もあり、有名な幕の内弁当をはじめ、売店では『めでたい焼き』やお酒も販売しています。
この時間に「筋書」を買って、次の演目のあらすじを頭にいれるもよし、豊富な売店で買い物を楽しむもよし。
歌舞伎揚げ、キャンディー、おせんべいなど、お土産もさまざま。
劇場内は楽しいスポットがたくさんあります。
歌舞伎が観たい!そう思ったら一度足を運んでみてください。
ご贔屓役者さんができたらきっと役者さんを観にいきたいという気持ちになります。歌舞伎座のような劇場に行くっていうだけでもわくわくしてきますよ。
歌舞伎は観るものではなく行くもの。
そうなればあなたも立派な歌舞伎ファンですね。
※編集部注:この観劇は2020年2月のものなので、8月以降の再開後とは上演形態などが若干異なっています。お出かけ前に必ず公式サイトをご確認ください。