人生が変わる!? 校閲・校正になってよかったこと4選
『Proof Reader』ライターのKaoです。
私は文章を書く仕事しながら「校閲・校正士」としても働いています。
今年は校閲・校正の仕事を始めてちょうど5年目。そろそろ業界にも染まってきたかな、と思う今日この頃です。
そこで、今回は私が5年に渡る “with校閲・校正ライフ” の中で「この仕事をやっててよかった!」と感じた、自分自身の性格や日常生活の変化についてご紹介していきたいと思います。
【1】忍耐力がついた
校閲・校正の仕事に携わる中で、一番身についたと感じるのは何といってもこの力。
私たちはただ「読書」をするのではなく、誤字・脱字がないかをはじめ、レギュレーションに則っているか、一般常識と照らし合わせておかしくないかなど、様々な視点を組み合わせながら原稿と向き合います。
頭の中は常にフル回転状態で、はっきり言ってめちゃくちゃ疲れます。
それを毎日毎日何時間もやっているわけですから……私のような短気な人間でさえも、5年も続けていると相当な忍耐力が養われました。
さらに、忍耐力がついたおかげで日常生活にも良い影響が!
たとえば、あの長くて煩雑な家電の取り扱い説明書や、保険約款等の各種契約書・同意書。
以前はイライラしてよく途中で投げ出していましたが、こうした書類にも最後までしっかりと目を通せるようになりました。
それによって、家電の便利な機能を新しく発見したり、契約内容の中で自分の想定とは異なる箇所を見つけ、あらかじめその点をクリアにしておくことができたりと、これまでよりも生活が合理的でスムーズになったように思います。
【2】慎重になった
これもこの仕事を始めて自分がかなり変わったと思う点です。
原稿に間違いや矛盾がないか、修正指示がきちんとその通りに修正されているかなどをつぶさに点検していく私たちの作業には、慎重さと丁寧さが求められます。
また、そうした作業での見落としを極限まで回避するため、網の目のように張り巡らせた細かな工程をひとつひとつ着実に遂行していく力も必要になってきます。
私は元々大雑把で落ち着きのない性格だったのですが、この仕事でこうした慎重さが身についたため、良い変化がたくさん現われました。
たとえば、これまで行き当たりばったりになることが多かった趣味の旅行では綿密な計画を立ててより多くの場所を巡れるようになりましたし、普段の生活でも慌てて行動をしてミスをしたり、怪我をしたりといったこともなくなりました。
【3】確認癖がついた
「やっと仕事が終わった!」……と、ひと息吐いた後に待っている、確認・見直し作業。
正直とても面倒くさいですよね?
けれども、文章や画像を校閲・校正することが仕事である私たちにとって、自分が出した赤字や疑問に誤字・脱字があるのはとてつもなく恥ずかしいことです。
言うなれば、プロの料理人が砂糖と塩を入れ間違えるようなものでしょうか。
そのため、どんなに面倒に感じたとしても、できあがった料理の味見、もとい書き終えた自分の赤字・疑問の確認を欠かすことはできません。他にも、受け取った原稿のページ数や様々な資料なども適宜確認・見直ししながら校閲・校正作業を進めていきます。
まさに、この確認・見直し作業こそが私たちの仕事の真骨頂と言っても過言ではないかもしれません。
私も毎日そうした確認・見直し作業を繰り返しているうちに、日常生活においても「あらゆる物事を確認しないと落ち着かない身体」になってしまいました…。
すると、小さい頃からおっちょこちょいだと言われ続けていた私が、いつの間にか忘れ物をしなくなったり、待ち合わせ時間や人の名前を間違えたりしなくなったのです。
また、電化製品の電源を消し忘れることや、自転車などの鍵をかけ忘れることなどもすっかりなくなりました。
もしかしたら、私がこれまでに火事や盗難などの大きなトラブルに遭わず済んでいるのも、校閲・校正士になったおかげなのかもしれません…。
【4】字が綺麗になった
業務でパソコンを使用することが主流になり、また最近ではコロナ禍でのリモートワークの普及をきっかけにして様々な場面での電子化が進む中、「文字を書く」という機会が減っている方も多いのではないでしょうか?
私が請け負っている業務は紙ベースでの校閲・校正がほとんどなので、他の業種の方よりも文字を書く機会が多くあります。むしろ、私たちは「赤字・疑問を出す」ことがサービス(商品)なので、それを書き記した「文字」そのものもまた、商品だと言ってもいいでしょう。
そのため、必然的に「誰かに見られる」ことを意識しながら文字を書くことになるわけですが……よく芸能人の方などが「他人の視線を意識すると綺麗になる」と言われているように、日頃から他人の目を意識して字を書くことによって、文字もまただんだん綺麗になっていったのです…!
さらに字が綺麗になったことで、赤字・疑問の読みやすさが向上しただけではなく、日常生活でもたくさんの良いことが起きました!
たとえば、結婚式の芳名帳や個展の筆名帳、仕事での送り状やお礼状、また時候の挨拶等のお手紙を書く際などに、「字が綺麗ですね」とよく褒められるようになりました。
もちろん、それだけでもすごく嬉しいのですが、さらにはその会話をきっかけに相手の方と仲良くなったり、顔を覚えてもらったりと、「字の綺麗さ」が仕事・プライベートを問わずコミュニケーションの糸口やアピールポイントとなったのです。
これはまさに棚からぼた餅、予想外の「よかったこと」でした。
まとめ
以上が、私が「校閲・校正になってよかったこと4選」になります。
これらは私の業務上の経験から得たものですが、校閲・校正士ではない方でも普段の仕事や生活の中で「校閲・校正目線」を意識して取り入れることで、作業効率のアップや、日常で役に立つ力を身につけることができるかもしれません。
この『Proof Reader』では「校閲・校正目線」に関する記事や、私たちが行なっている具体的な作業内容などを書いた記事も掲載しておりますので、よろしければぜひ覗いてみてください!
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Kao
校閲士・美術史修士。大学在学時に旅行したイタリアでアートに魅せられ、独学で美術史を勉強し大学院に入学、修士号を取得。
趣味はアート、歴史、ファッション、旅行、ご当地テディベア集め。