「タンタンメン」あなたはどう書く?~正しい表記は成り立ちから覚えよう
「校正」という仕事をしていると、日常生活にも影響を及ぼすことがあります。
これをあえてここでは「呪い」と呼ぶことにしますが、この記事の読者にもちょっとこの呪いをお裾分けしようと思います。
シリーズ化・・・できたらいいな。
さて、今回はご存知「タンタンメン」という食べ物から紹介しようと思います。
辛くておいしいですよね。
この「タンタンメン」の表記の話です。
もう日本でも市民権を得ている料理なので、大抵の中華屋さんにはメニューにあると思いますし、加工食品も多数発売されていますし、ちょっとググれば専門店がゴロゴロ出てきますし、
なんなら筆者はテレビの影響で専門店に行ったら当然混んでた上に、辛すぎて食べきれなかったこともあります。食品ロス、本当に申し訳ございませんでした(猛省)。
話を戻しますと、そのお店のメニューにはどのような表記で書いてあるでしょうか?
前出のようにカタカナで書くこともありますし、漢字でいけば、『坦々麺』・『担々麺』・『担担麺』などPC上の変換だけで、以上4パターンが出てきます。変換しないでひらがなでいけば5パターンですね。
では、どれが表記として適切なのでしょうか?
他にもあるかもしれませんが、とりあえずこの一般的な5つでいきましょう。
1)たんたんめん
2)タンタンメン
3)坦々麺
4)担々麺
5)担担麺
だんだんお腹が空いてきたのでは?
ひらがな・カタカナは音での表記で、日本語便利だな、という程度の意味の無い表記なので、ここで気になるのは漢字の意味です。
この「々」というものは、俗に「ノマ」と言ったりする踊り字で、前の単語を繰り返す時の記号なので、単体では特に意味はありません。踊り字の話は…また今度。
ということで、土へんの「坦」と、手へんの「担」に絞れました。
3)の「坦坦」は広辞苑に載っています。
地面・道路などが平らなさま。転じて、変化なく平凡に過ぎるさま。
(岩波書店 広辞苑 第五版より)
平“坦”とか言いますよね。
4)5)の「担担」は単語としてはありませんが、「担」単体で意味を調べてみると、
になう。あげる。
(旺文社 漢和辞典 第五版より)
などが出てきます。
さて、どういうことでしょう。
ということで、由来を調べてみます。
中国では、かつては麺や具、茹でる道具などを天秤棒で担いで売り歩いていた。
「担」いで麺を売り歩いていた、だから担々麺。
以上のことから、適切な表記は「担担麺(担々麺)」です。
・・・と、由来を知ると覚えやすいのではないでしょうか。
ということで、この記事の読者に、
日常生活で見るメニューでタンタンメンに遭遇した場合、担担麺(担々麺)になっているか気になってしまう呪いをかけました。
・・・かかり具合はいかがでしょうか?