世界のエロ映画は「ピンク」じゃない ~刷り込まれた、色のイメージ~
こんにちは。Proof readerライターの坪内悟です。
戦国時代と言われて久しい、現在のアイドル業界。
そのかなりのグループに採用されているのが、
「イメージカラー」です。
アイドルの「イメージカラー」戦略
なかでも最も有名なのは、「ももクロ」こと『ももいろクローバーZ』です。
・リーダー・百田夏菜子(かなこ) = 「赤」
・玉井詩織(しおりん) = 「黄」
・佐々木彩夏(あーりん) = 「ピンク」
・高城れに(れに)= 「紫」
(ちなみに、脱退した早見あかりは、「青」。有安杏果は、「緑」でした。
ハコ推し(全員好き)は、全ての色を混ぜた「黒」になります)
この色分けシステムには、もちろんちゃんと“目的”があったのです。
いまでこそ大人気の「ももクロ」ですが、
最初はメディアに取り上げられることもなく、
何人かしかいない通行人を相手にした路上ライブからスタート。
さらに、川上マネージャーの運転するワゴン1台で寝泊まりしながら
全国のヤマダ電機を回っての、「店頭ライブ」。CDだって手売りでした。
(※詳しくは2009年8月5日オリコンニュースなどを参照)
こんな状態ですから、
路上や店頭のライブを見た一般のお客さんに、
メンバーの名前を知る人なんてほとんどいません。
でも・・・
「あの赤い娘、カワイイね!」と、
“色で覚えてもらえばいい”わけです♪
(私たち世代もそろそろ、若い娘がどれも同じ顔に見えてきて、
見分けがつかなくなってきているので、このシステムは正直助かります(汗))
こうして、みなさんご存じのとおり、「ももクロ」の人気は急上昇!
その勢いにあやかりたいと、他のアイドルグループも影響を受けて、
“メンバーの色分け”を始めたのです。
(男性アイドルでは、SMAPがはじまりという説もあります)
そんなインディーズ時代の「ももクロ」を手伝っていたという
レコード会社の担当者さんによれば、
そのイメージカラー戦略の原点は、
「スーパー戦隊」にあるといいます。
いまのアイドルの原点は、スーパー戦隊から
「スーパー戦隊」は、
ウルトラマンや仮面ライダーとともに、40年以上に続く特撮テレビドラマシリーズで、
現在も『騎士竜戦隊リュウソウジャー』が放送されています。
そして、その出発点となったのが、
1975~77年に放送された『秘密戦隊ゴレンジャー』。
5人のアクトスーツのデザインには統一性を持たせ、“団結力”を強調しながらも、
「赤」「青」「黄」「緑」「桃」という別々の色を与えることで、
それぞれの豊かな“個性”もアピールしたのです。
それぞれには、色のイメージから、こんなキャラクター付けがされました。
「赤」=「情熱」
→ アカレンジャー = リーダー。正義感も強い、熱血漢。
「青」=「海」=「冷静」
→ アオレンジャー = シュッとした二枚目クールガイ。
「黄」=「黄色い声」=「騒がしい」
→ キレンジャー = ひょうきんなムードメーカー。
「緑」=「自然」=「癒し」/「緑」=「若葉」=「少年」
→ ミドレンジャー = 自然や動物をこよなく愛する、心優しき若者(少年)。
そして、
なるほど。40年以上たった今でも、なぜだかしっくりきちゃいますよね。
これ以降、「黄」や「白」なども担当色となる「2人体制」や「異色作」もありましたが、
基本的には「ピンク」こそが“女性戦士の色”になっています。
でもこの「ピンク = 女性」というイメージ、
いったい本当なんでしょうか?
ピンクはホントに”女性らしい色”・・・?
実は第1次世界大戦前は、そうでもなかったようなんです。
不思議の国のアリスのドレスがそうであるように、
「女子といえば青」というイメージも一般的だったそうで、
ピンクも男女関係なく、“普通の色”とされていたといいます。
ところが1953年に就任したアイゼンハワー米大統領の妻、
マミー・アイゼンハワーが就任式に“お気に入りの色”のシルクのドレスで登場。
以降も同じお気に入りの色の服を着続けました。
その色こそが「ピンク」だったのです。
そしてマスコミがその“ファーストレディのイチ推しの色”と持ち上げたおかげで、
「ピンク = 女の子らしい色」というイメージが定着していったといいます。
ピンクは ”エロい” のか・・・!?
また、特に男性が「ピンクは女性の色」と思ってしまうのは、
「ピンク = エロい色」
というイメージもあるからではないでしょうか?
アダルト映画は「ピンク映画」とか言うし、
エッチなお店の「ピンサロ」は「ピンクサロン」の略だし・・・
文化によってエロい色は違う
でも実は
文化によって「エロい」とされている色は違うんです。
●イタリア
情熱的なイタリアで『film rosa(ピンクの映画)』は
「甘~い恋愛映画」の意味になるんだそう。
イタリアの“エロい色”は「赤」なんです。
アダルト映画は『Film rosso(赤い映画)』と言うんですって。
●イギリス・アメリカ
お堅いイメージのイギリス、そしてアメリカでは「青」が“エロい色”。
アダルト映画は『Blue Film(ブルー映画)』、下ネタは『Blue Joke』なんだそう。
日本でもその昔、温泉宿などで秘密上映会用に多数製作されていた短編の猥褻映画を
「ブルーフィルム」と呼んでいたんですよ。
●スペイン
愛情表現豊かなスペインでは、「緑」。
アダルト映画は『Cine verde(緑の映画)」、エロ本は『Libro verde(緑の本)』。
『Viejo Verde(緑の老人)』は「エロジジイ」と訳すんだとか。
マーベル映画の「ハルク」は、別の意味で、ものすごく力強く見えるんですかね?
●中国
お隣の中国で、「ピンク」は「恋の」という意味。
『桃色新聞』は「恋のうわさ」という意味みたい。
では中国でエロい色は・・・?
それは「黄」。
中国語ではアダルト映画は『黄色電影』、エロ本は『黄色書簡』、エロ小説は『黄色小説』というように、
黄色には「堕落・猥褻」といったネガティブな意味があるんです。
中国の人が映画『幸せの黄色いハンカチ』を観たら、
健さんが会いに行く理由を間違って解釈しちゃうかもですね・・・(汗)
アラ、気がつけば、
「赤」「青」「緑」「黄」、そして日本の「ピンク」・・・。
やっぱり
世界中で放映されている”ヒーロー特撮”を見て、
世界中の子どもが
大人になっていくんですね・・・(遠い目)。
ゴホン。
と、このように、
色のイメージって案外、後付けされたものが多いんです。
だからこそ、その
「色に込められたイメージ」をうまく使って、デザインなどを考えると
”売れる商品”ができるかもしれませんよ!
あ、ちなみに、「アムール(愛)の国」ことフランスで “エロい色” は、「白」。
清純そうなのが、一番エロいのかもしれません・・・