ミドル世代に訊く 『純烈』リーダー・酒井一圭さん 【後編】 いろいろ聞いてみました♪
後編では、人間関係やお悩み相談、コミュニケーションなどについてお訊きします。
子役時代から、自然に身につけられた人の心を汲み取る高感度な感性。それでいてナチュラルな人間性、その魅力に惹きつけられます。
【前編】
酒井一圭(さかい・かずよし)プロフィール
1975年6月20日生まれ、大阪府出身。AB型。
役者として『逆転あばれはっちゃく』(1985年)で5代目桜間長太郎役。第71回アカデミー賞作品賞映画『シン・レッド・ライン』(1998年)、『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)など出演。
DDTプロレスリングのブランド『マッスル』で2005年リングデビュー。2006年には新宿ロフトプラスワン・プロデューサーとしても活動。
ムード歌謡グループ『純烈』のリーダー・プロデューサー。
2010年『涙の銀座線』でデビュー。「夢は紅白!親孝行!」を夢に掲げて、2018年に第69回NHK紅白歌合戦初出場。70回、71回と3年連続出場となる。
純烈オフィシャルウェブサイト
『純烈』初主演映画『スーパー戦闘 純烈ジャー』が9月10日より絶賛公開中!
ーーファン層も幅広いですが、コミュニケーションに心がけていることってありますか?
世代が違うってジェネレーション・ギャップはありますけど、親子の会話をしてるにすぎないので、等身大で喋ることですね。だから何かに迎合することなく、(自分は)40代の男性として話しているので。「おばちゃんはそんな感じ?」とか、「同級生、そんな感じ?」とか「子どもはそんなことを思うの?」そういう普通の会話ですよ。茶の間の会話をステージと客席でしている感じですね。
ーー年齢差があっても気にしないんですね。
年齢差があった方がおもしろいよね。聴いてきた音楽とか好きな食べ物も好みも違うし。
年上のファンの人に「悩みは何?」って聞いたら「旦那と同じ墓に入りたくないねん」とか言って(笑)。「え?こないだ仲良く来てたやん。」「旦那はいいのよ。旦那のお母さん。大っ嫌い」「え?どうすんのよ?」そんな話を聞いたり(笑)。
ーー人生相談の連載もされていますね。あれは全部ご自身で答えているんですか?
そうですよ。
本(『婦人公論』連載の「純烈お悩み相談 僕のお腹で、泣けばいい」)にするときは、半分ぐらいは口頭で答えたものを文字起こししてもらって推敲してもらって、あの本になってるんですけど。
「連載のときには、酒井さんこう答えたんですけど、もうちょっと膨らましたいんで」って言われて、もう1回質問聞くじゃないですか、そうすると前の答えと違う答えになっちゃってるんですよ。つまり今日の答えになってるの。
競馬の予想もそうなんですよ。日曜日にレースがあって、例えば今日予想する。だけど明日になったらちょっと変わるんですよ。だから常にやっぱり今日の自分ってことを大事にしすぎると、一貫性なんて持てないですよ。相談事として、この間そう答えたけど、いやこんなことあって、思い直して、俺、今やったらこう答えるわとかね。だからもう本当にね、僕は言うことがコロコロ、変わる(笑)。
プロジェクトでも、こういくって昨日言ってたことが、真逆になったりも時々ある。だから、それはもうスタッフとかメンバーには悪夢として心に残ってるみたいで(笑)。準備してたけど、どないしてくれんねん?って。だからそれを面白がってくれる人が残ってます(笑)。
ーー人生相談って、面白いですよね。
なんか、これやったら一生できるなと思うんですよね。その時々で正直に答えるっていうか。
これあんまりおもろくないやろなと思いながらも、答えていることを面白がってくれたり、逆にこれおもろいやろ?と思ったことが全く伝わっていなかったりとか。
なんかやっぱり、その辺のコミュニケーションがハマらないのが面白いですよね。
男と女でも、ハマってるような気持ちになって愛し合ってても、何か間違いの始まりなところもあるじゃないですか(笑)。それでだいたい別れるやん。結婚するのは1人だから。
その面白さっていうか、だから僕はどっちかというと「同じ花を見て美しいと」ってあるけど、あれほど怖いものはないね。
もう「これ綺麗やろ」「どこが?」とか「あれ食べに行こうよ」「いやだよ」っていう人の方が好き。
合うとすれば「なんかちょっとだるいねー」「だるいなー」ぐらいでいい。
だから僕、奥さんとは何一つ合わないですよ。これほど合わんかっていうのが面白い。僕はレバ刺し食べられなかったんですよ。それで、奥さんはレバ刺しをうまそうに食べてて。
で、僕もレバ刺し好きになったりとか。
ーー影響受けてますね(笑)。合わない、というのが面白いと思える。
そうそう。影響受けるくらい、個性が強いという。奥さんはお酒大好きで、僕は飲めないとか。なんでそれっていうのが面白いですね。
あとは、あれですよ。エッチが合うかは大事じゃないですかね。
ーー家庭内でも同じなんですね。
同じですね。母とも兄弟とも(この取材も)全部地続きですね。
あ、義理のお母さんお父さんとはちょっとだけ敬語のようなテンション(笑)。急に「そうですか」みたいな感じではないですね。偉い社長さんでも、もちろんご挨拶はちゃんとしますが、その後は冗談で下の名前をぼーんと言ってみたり(笑)。
ーー何か美容法とかありますか。
いや、僕に聞かんでも(笑)。
メンバーはエステ行ったり、ちゃんとメイクしたりしてるんですけど、僕はメイクしないのが一番いいと思う。普通に水で洗顔が一番大事だと思います。もともと僕、肌綺麗に両親に産んでもらったんで、トラブルもなくきているんですけど。でも、子供のころから部活やって汗まみれのままでも、顔だけはちゃんと洗っていました。手を洗うより先に顔を洗うぐらいの勢い、今もライブ終わって、みんなドーランとか、ファンデーション塗ってるんで、すぐに顔を洗えないじゃないですか。
僕は(すぐに顔を)洗いたいからメイクしない、みたいなとこありますね。実際、健康センター公演ではメイクしたことないです。
あとは風呂入りまくってますね。毎朝風呂に入ってます。もともと健康センター大好きだったから、純烈で出会ったときに、絶対ここを取るぞっていう感じでいったっていうか。
歌を歌うとか喋るのが仕事になったんで、鼻とか顔から歯磨きから全部もうお風呂で。
それやってると、今日ちょっと風邪っぽいとか、今日ちょっと体しんどいなとか。全部調子がわかる。あともう古傷だらけやから、古傷がうずくと明日雨かなとか(笑)。
体をコントロールする体力勝負なところがあるので、今日の自分の調子とかペース配分とかある程度わかっておく癖がついているかもしれないですね。
前日から仕込み、準備を崩さないというか、先のスケジュールを常に見ておくというか。
ーー本当に多忙ですよね。
仕事と飯と寝るしかやってないので。仕事以外の時間は寝て、合間に飯を食うことだけ(笑)。週末みんながメイクしている中、僕は競馬で予想して、ステージで歌って戻ってきて「(馬券が)当たったかなー」ってやるくらいですね(笑)。
ーーお子さんが将来、芸能の道に進みたいなんてことはないですか?
ないよー。今はなんだかんだ急に大人になって、でもやっぱりやりたいという可能性は残っているんだけど、小さいころから(純烈の)こんな奇跡的なことはないって見てきているから。こんなギャンブルみたいな(仕事)よりも、宝くじ買ったほうが6億円当たるよって思っているんじゃないかな(笑)。どれだけ大変か、見てきているし。やりたいこと、やったほうがいいよね。
ーー『スーパー戦闘 純烈ジャー』の主題歌、『NEW(入浴)YORK』※の作詞もされていますよね。
曲先(きょくせん)で作っていくんですよ。こんな感じのイメージというのを作曲者にもオーダーで伝えて、上がってきた曲に歌詞をつけていくんです。音聞いて見えてくる景色とかもそうだし、歌ったときの、「お」で始まるよりは「あ」のほうが広がるとか。あとダラダラダダダ、って言ってるんです最初は。ガガガガとか。そこに「だれかが」とか歌詞を音にはめているというか。で、「スーパー戦闘、純烈ジャー!ダダダー。」で「ダダダー」の部分が迷ったんですけど、純烈=お風呂=入浴(NEW YORK)にしよう!と、ダジャレ(笑)。
※映画『スーパー戦闘 純烈ジャー』主題歌
純烈「NEW(入浴)YORK」(日本クラウン)作詞:酒井一圭 作曲:影山ヒロノブ 編曲:須藤賢一
――最初の頃に、またお客さんに来てもらうためにどのような工夫をされていましたか。
言葉で「またぜひ来てください」って言う。
ショッピングセンターとか健康センターとか、また呼んでもらえるかどうか保証が全くないところは、お客さんに「純烈をまた呼んでって言ってください、お願いします!さよならー!」と言って去っていく。本当の気持ちでお願いして、思いの丈を最後に言ってラストソングです、とか言って歌ってたんですね。
今ですら言ってますよ。「また来たいからホテルの人に言ってください。」って。
で、なんやったらもう今日来年のスケジュールを押さえてくれとか言って。変わってないですね(笑)。
【インタビューを終えて】
前回は酒井さんのリーダー力の秘密を知ろうとしたお話から、今回はバラエティ編としていろいろ訊いてみました。いかがだったでしょうか。
大きな「ズレ」を経験することによって、大いなる(洞察力や分析)力を身につけた酒井さん。
『スパイダーマン』の中で「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉があります。わかりやすいヒーロー能力ではありませんが、酒井さんもまた「大いなる力」を手に入れたため、「大いなる責任」があるのかもしれませんね。「32年間(32歳までかなりデタラメに生きてきたという)の贖罪ですよ」なんて言うけれど(笑)。
そして年齢も男女も関係ない分け隔てのない、等身大でフラットな人の接し方。にっこりと人懐こい笑顔で「元気?」と声をかける。健康ランドで知り合ったスタッフのおばちゃんの手作りの趣味「猿の写真カレンダー」を毎年もらっていると嬉しそうに話してくれる。
「人間関係とか、そういう壁を僕はぱっとどけちゃうから」と。
現在、コロナ禍の中、ソーシャルディスタンスという言葉は定着してきたと思うけれど、離れるのは物理的身体的な意味だけで、気持ちは近づこうよ、そんなメッセージのようにも思えます。
年を重ねれば重ねるほど、心もカラダも固くなっていく中で、あまり壁を作らないやり方があってもいいんじゃないかなと本当に思います。
見習って出来ることではないかもしれないけれど、
それにしても……悪い人にならなくてよかったです(笑)。本当にありがとうございました。
出版業界の片隅を振り出しに昭和・平成のおたく系出版社・編プロ・webマガジンなど紆余曲折を経て、令和を生きる編集・ライター。焼肉には「幸せ細胞」を活性化する何かがあると「肉の会」という集まりを開き、そこで才能あるひとたちのコラボを見るのが好き。コロナ禍ではなかなか会えませんが、おじさんももう少しがんばります(笑)。
(イラスト/近藤ゆたか)
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(イラスト/直井武史)撮影/杉山大道(MONTAGE-T)