かつぎまくってイイ漢字♪~生活の中の「縁起をかつぐ言葉」
こんにちは。ダンラクライターの坪内悟です。
突然ですが、
「おすし」って、みんな好きですよね♪
私も推してる、あの「でんぱ組.inc」だって1stアルバムに
『ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!』
なんてタイトル付けちゃうぐらい!
でもこの「すし」って、漢字で書くと
ってなるんですけど・・・
どう違うか知ってます?
そもそも「すし」は、
酸っぱい!という意味の「酸(す)し」からきているんだそう。
そして漢字として一番古いのは『鮓』。
これは、魚を塩と米飯で乳酸発酵させた、
今で言う「なれずし」のこと。
なので「サバずし」「フナずし」なんかは
『鯖鮓』『鮒鮓』と書くのが本来、正解らしいんです。
で、次に出てきたのは『鮨』。
もともと中国では
「魚の塩辛」を指す漢字だったのが、
混同されて
「おすし」を指すようになったそうで、
「なれずし」以外の
「握りずし」や「押しずし」なんかに
『鮨』の字を使用したと言います。
地域的にみると、『鮓』は「なれずし」の文化が残る西日本でよく使われ、
『鮨』は鮮魚を握る江戸前ずしが代表的な東日本でよく使われる傾向があるそうです。
では最後の、『寿司』は・・・?
『寿司』は、幕末から明治以降に、
“縁起がよい”として使われるようになった“当て字”なんです。
その語源としては、
賀寿のお祝いの言葉「寿詞(じゅし・よごと)」からとっている
などと言われています。
当て字ですから、
ネタがなんであろうと、
『寿司』は適用OK♪
魚じゃないから・・・
って使うのをためらってた、その他の
「かんぴょう巻」や
「タマゴ」なんかにも
『寿司』の字はピッタリなんですね♪
実際、全国のおすし屋さんの店名では、『寿司』を使った店が半分以上。
「司」をひらがなにした『寿し』を加えたら、3分の2以上で使われているんですって。
今回はそんな
をご紹介します。
あ、お寿司と言えば、
私、下関に行ったときに、これのお寿司を食べたんですけど・・・
あなたならこの魚、なんて呼びます?
全国的には「ふぐ」って呼ばれてると思うんですけど、
なんと下関や、関門海峡のむこうの北九州市、福岡県の一部では
って呼ぶんです。
メニュー見て、最初は
「なんだよ、誤植じゃーんwww」と思ったんですが、
なんとこれで正しいそうで。(スミマセン・・・)
理由としては、
・『ふぐ』が「不遇」に聞こえるため
・『ふく』が「福」を連想させるから
・・・だと言われています。
そして同じように、音を使った縁起担ぎは中国でも。
よく中華料理屋さんなんかに行くと、
こんなの見たことありません?
店先や店内に「福」という字が逆さまになっている「倒福(とうふく)」。
これは中国語で
「到」(いたる、くる)と「倒」(逆さま)が
(dao の第4声)の、同じ発音・同じ音読みをするため、
「福」を逆さまにして、「福がやって来る」という意味にしているんです。
また、縁起担ぎはそんな、“地方によって”なんてレベルじゃなく、
なんと“その地方の地名にまで及んでいる”ことも・・・!
たとえば、
大阪は、
もともとは『大坂』なんですよ。
江戸時代、『大坂』・『大阪』のどちらの漢字も併用されていたようで、
当初はむしろ、「大坂」の方が一般的だったみたい。
ところが幕末ごろ、
当時人気のあった狂言作者、浜松歌国(はままつ うたくに)が
『坂』を分解すると「土に返る」=「死ぬ」で縁起が悪い!
と言い始めたのをきっかけに、
『大阪』を使う方が定着していったんですって。
また、
『坂』=「幕府の“士”(侍)が謀“反”を起こす」
とも解釈できるので、
明治維新以後は、“政治的にマズイよ~!”とも言われたよう。
こんな時から、忖度ってあったんですね。
こうして1868年の「大阪府」設置と共に、
正式に「阪」になったんですって。
それから、
マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で
おなじみの東京都葛飾区の「亀有」も、
なんと昔は『亀なし』だったんです!
それは1644年(正保元年)、江戸幕府が国絵図を作った時のこと。
国絵図を作成した幕府の担当者が、
”なし”なんて否定の言葉は縁起が悪い!
・・・として、
『亀有』に変えたと言われています。
もともとの「亀なし」の地名は
この土地が「亀」の形を「成し」ていたのでついた名前だったそうなんですけど・・・
これ、
『成す』を使って、「亀なす」ならそのままで大丈夫だったのかも。
って思うんです。
・・・というのも、
あなたはこれ、なんて言います?
これ、『一富士・二鷹・三なすび』・・・って言いますよね。
そう、『なす ” び ” 』なんです。
でも私たちは普段、あの野菜を
『なす』って呼んでますよね・・・?
なぜ ” び ” が取れたのか・・・・・・!?
実は『一富士・二鷹・三なすび』は
徳川家康の大好きな
「富士山」・「鷹狩」・「なすび」を集めて
「将軍さまの大好物♪」=「よ!めでたいね!」
っていう、こちらも江戸時代に忖度から生まれた言葉。
でも当時、「なすび」は主に関西の野菜で、江戸では入手困難。
そこで、家康が命令を出し、
彼の好物の「なすび」は江戸でも栽培されるようになったのですが・・・
なかなか生産量を上げられず、「なすび」は超高級品に。
そのためそんなに売れませんでした。
そこで、江戸の商人たちは「なすび」の名前を『なす』と変え、
とこじつけて、
”「なす」は、食べると商売繁盛する、縁起のいい野菜だ”
との触れ込みで売りまくったんだとか。
それが定着して、この野菜を我々は
『なす』って呼んでいるんですって。
そして “縁起をかつぐ言葉”と言われて、
忘れちゃいけないのが・・・・
もちろん、
結婚式関係の言葉づかい。
たとえば
披露宴や宴会などが終わるのを
って言いますよね。
これは、
会が「終わる」とか「閉じる」とかいう表現を避けるためです。
こうした“不吉な言葉”を
っていうんですよ。
いみことば 【忌み詞・忌(み)言葉】
⇒信仰する宗教や特定の職業、場面によって使うのを避ける言葉。
死や病気といった、不吉な意味を連想させる言葉が多い。
他にも忌み言葉の言い換えとしては
●「本日はお忙しいなか・・・」 ⇒ 「本日はご多用のところ・・・」
●「料理が冷めないうちに・・・」 ⇒ 「料理が温かいうちに・・・」
●「ケーキを切って・・・」 ⇒ 「ケーキにナイフを入れて・・・」
・・・などがありますよね。
では、結婚式ついでに、
これってなんのことだかわかります?
・・・利益が増える?
これ、実はそのまま
「草履(ぞうり)」のこと。
なんだよー、結婚式関係ないじゃーんって思ってません?
実は奈良県では、草履を結納品にするんだそうですよ。
わざわざおめでたい漢字をあててるんですね。
また結納品には、
もありますよね。
・・・これは、なんて読むか知ってます?
答えは「するめ」。
『寿』は長寿や幸せ、
『留』は一生嫁ぎ先に留まること、
『女』は良妻を指すそうで、
「結婚が末永く続くように」
という意味が込められているんです。
あ、でも「するめ」を
って呼ぶのも、聞いたことありません?
『あたり』の「あたり」は当然、「当たり」なんですけど・・・
この言い換えって、なぜだと思います?
実は『するめ』の「する」が
ギャンブルの
「スル(博打で金を使いきってしまうこと)」
を連想させるからなんですって。
これも忌み言葉ですよね。
ヒゲを剃ることを『ヒゲを当たる』と言いますが、これも同じことで
「ヒゲをそる」が江戸弁だと「シゲを“スル”」になってしまい、縁起が悪い。
そこでどちらも
博打用語で「スル」の反対の『当たる』
と、言い換えているんだそうです。
わ・・・今、怖ろしいことに気づいちゃいました。
奥さんが浪費家のあなた・・・・
もしかして
あなたの結納の席に出たのって、
『寿留女』じゃなくて『スル女』
だったかもしれませんよ・・・。
(((( ;゚Д゚)))ガクブルガクブル・・・