つい「もろちん」!! 校正者を狙う恐怖の “タイポグリセミア現象”
こんにちは。Proof Readerライターの坪内悟です。
今回はハロウィンも近いということで、ちょっとコワ~イお話を。
あなたはご存知でしょうか・・・
日本国内では、2009年5月8日に電子掲示板「2ちゃんねる」において、
その怪奇現象を利用したある文章が話題となり、
広く認知されるようになったことを・・・。
それが
『タイポグリセミア現象』。
まずはなにも考えずに、この文章を読んでみてください。
こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
ほら、
(こんにちは、みなさんお元気ですか? 私は元気です。)
に読めてきませんか?
という現象で、
日本語ではこんな時に起こるそうで・・・
*文章はすべて6文字以下の単語だけで。
*単語の最初と最後の文字は正しい位置のまま、間にある、隣接した文字を並び替える。
*文章全体の内容は予測可能なシンプルなものに。
*文字を並び替えた文字列が、別の意味を持つ単語にはならないように。
*3文字以下の単語は、文字の並び替え禁止。
条件はわかっても、
未だにその根拠は科学的には解明されていないらしいんです。
で、
これに恐れおののいているのが、
校正者なんです(泣)
気を付けないと、校正チェックも「さらっ」と読み飛ばしちゃう。
たとえば、
『ジョジョの奇妙な冒険』第三部「スターダストクルセイダース」の序盤で
空条承太郎が激高して、こんな風に叫ぶんです。
「やかましいッ!うっおとしいぜッ!!おまえらッ!」
いくら承太郎が、父は日本人・母はアメリカ人のハーフだからって、
その日本語は・・・。
「うっとおしいぜッ!!」だと思い込んで、
校正は完全にスルーしちゃったんですね、きっと。
でもこれはまだマシ。
名作ゲーム『逆転裁判2』(GBA版)の第三話「逆転サーカス」でも
裁判中に証人として出席していたアクロ氏への尋問をするのかどうかを
裁判長に問われた時の選択コマンドが・・・
⇒もろちん、尋問する
もろちん、尋問しない
この「もろちん」はかなり蔓延しているようで、
『名探偵コナン』週刊少年サンデー2004年46号最終ページでも
「さ、3時間?」と尋ねられた江戸川コナンが
「うん!もろちん・・・」
と元気よく答えています。
あの金田一少年も「モロチン!」と言っていたようですし、
なんなら『さよなら絶望先生』や『生徒会役員共』では
「もろちん」がネタとして使われていました。
また、石持浅海さん作のミステリー小説『二歩前を歩く』(光文社刊)では、
もろちん、岩男さんが知花を深く愛して・・・
と掲載。
この文章を写した書籍のページ写真を、
石持さんご本人が面白がってツイートし、話題になりました(笑)
そして「もろちん」よりもっとスゴい
極めつけの誤植は・・・・
少女漫画雑誌『花とゆめ プラチナ増刊』1998年5月15日号に掲載された
加藤知子さん作の漫画『おまけの海藤家』。
登場人物がめちゃめちゃシリアスな顔で
「なんとまあ、俺様ときたら
おちこんでるらしいんだぜ」
と言いたかったところを、
誤植されて、こう言ってしまったんです。
「なんとまあ、俺様ときたら
おちんこでるらしいんだぜ」
えー。
恥ずかしい思いをする前に
ダンクグループにぜひご用命ください・・・!
※株式会社ダンクは本サイト『Proof Reader』の運営会社です。
というわけで今回は
「小学生男子が喜びそうな誤植」についてご紹介しました!
(いつの間にかテーマが変わってる・・・)
注)ここに出てきたほとんどの誤植は、
単行本化・文庫本化・重版などの際に、すでに修正されているようです。
原文引用元:「2ちゃんねる」2009年5月8日スレッド/集英社刊『ジョジョの奇妙な冒険』16巻157ページ/カプコン『逆転裁判2』(GBA版)/小学館「週刊少年サンデー」2004年46号『名探偵コナン』最終ページ/光文社刊『二歩前を歩く』/白泉社『花とゆめ プラチナ増刊』1998年5月15日号『おまけの海藤家』