恥ずかしいっ!つい口にしてしまう「誤用の世界」~正しい日本語、使ってますか?~
普段なにげなく使っている慣用句や熟語。
実は多くの人が間違って理解している「誤用」は意外と多いものです。
もし取引相手との会話や交渉の際なんかに、意味や用途を間違えてしまうと……
恥ずかしいのはもちろん、そんな教養もないのか…と信用が薄らいでしまうかも。
そこで今回はビジネスシーンで使ってしまったら恥ずかしい、
間違って使われがちな日本語をピックアップしました。
立つ鳥跡を濁さず(×飛ぶ鳥後を濁さず)
『立つ鳥跡を濁さず』は、
「立ち去る者は、後が見苦しくないように後始末をしてから去るべきである」という戒めとして使われる言葉です。
水鳥が水面を飛びたっても、その水は濁らないで、清らかであることが由来になっています。
そのため、飛び立った「跡」という字を当てます。
『飛ぶ鳥後を濁さず』という言い方は誤りです。
失笑する
「笑いを失う」と書くところから、
「笑いも出ないくらいあきれる」とった意味合いで捉えがちですが、これも誤り。
本来は「おかしさをこらえられず思わず笑ってしまう」という意味合いが正しい使われ方です。
平成23年の文化庁の「国語に関する世論調査」によれば、
本来の意味である「こらえ切れず吹き出して笑う」と答えた人が3割弱、
本来の意味ではない「笑いもでないくらいあきれる」と答えた人が6割という結果でした。
…と多くの人が勘違いしているようです。
間が持てない(×間が持たない)
人との会話が途切れてうまく間をつなぐことができないといった意味のことを
「間が持てない」というのが本来の使い方です。
「間が持たない」は、「間」を保持する(たもつ)、という意味合いになってしまうため誤用です。
小学館の国語辞典「大辞泉」編集部が2013年に発表した、『言い間違いされる言葉ランキング』でも堂々の1位に。
破天荒
豪快な振る舞いや、無茶をすることを「破天荒」ということがありますが
これも誤り。
「今までだれもしなかったことをすること、前人未到の偉業を成し遂げる」というのが正しい使われ方です。
むかしむかし。
唐の荊州(けいしゅう=現在の湖北省一帯)からは高等官吏資格試験(科挙:かきょ)の合格者が100年以上も現れなかったため、『天荒』、つまり「未開の地」と呼ばれていました。
しかしある年、ついに劉蛻(りゅうぜい)という人が初めて合格して「天荒を破った」、つまり『破天荒』だとたたえられ、
このことが、言葉の由来とされています。
にやける
「薄笑いを浮かべている」、「口元が緩んで笑顔になること」という意味合いで使われるのは誤りです。
本来は「男子が弱々しく色っぽい様子をしたり、変にめかしこむ」といった様子をあらわす言葉なんです。
ですから、もともとは男性にしか使われなかったんですって。
世界の言語と比べても驚くほど語彙数が多い日本語。
似たような意味の言葉もたくさんあり、気づかぬうちに誤った日本語を使ってしまっている場面もあるかもしれません。
しかし、正しい使い方や意味を知っていることは、どんな場面でもプラスになりますよね。
いま一度、正しい日本語を再認識し、印象の良い会話を心掛けたいものです。