易しくて、優しい!?「やさしい日本語」ってなに?
私たちの周りには「読んでくれなくてもいいよ」と言ってるような文章がたくさんあります。
パソコンソフトの「使用許諾同意書」や保険契約の「約款(やっかん)」は、字は小さい、漢字は多い、文体は硬いで、読んでもらうのが目的ではなく、説明責任のために仕方なく、という印象を受けます。
デジタル機器をはじめとした家電製品の「取扱説明書」も知識のない人には??? わかってる人なら5分で終わる設定に2時間!なんてことがザラにあります。これだけ技術が進歩しても、こういう文章は変わらないんですね。ある意味、驚きです。
日本語を母語とする私たちですらこんな状況ですから、たとえば日本で暮らしはじめた外国の方や日本語を学びはじめた留学生などはどう感じているのでしょう。まさに日本語の暗号文?古代の呪文?でも読まされている感覚なのかもしれませんね。
え!? 最近はいろいろな文書や説明文に英語版や中国語版もある?・・・そんな意見もありますが、当然、日本にいる外国の人たちは英語や中国語を話す方々ばかりではありません。
むしろ最近は多国籍化が進み、英語や中国語を話さない人たちのほうが多いのではないでしょうか。だったら、スペイン語版やロシア語版、タイ語版、アラビア語版などいろいろな言語に翻訳したらどうか、ということもあるかもしれませんが、それはどう考えても現実的ではありません。
観光だけでなく日本で生活する外国人が増えるなか、どのように不便なくコミュニケーションを図っていくか、なにかいい解決策はないかと考えていたところ、こんな取り組みを発見しました。
あなたは「やさしい日本語」って聞いたことがありますか?
最近、新聞やテレビで取り上げられることが増えてきたので、どこかで耳にしたことがある方もいるかもしれません。簡単に説明すると「やさしい日本語」とは
普通の日本語よりも簡単な日本語”
……のこと。1995年1月に起こった阪神・淡路大震災をきっかけに災害発生時の情報伝達に使うことばを、日本語に不慣れな外国人にもわかりやすく、また情報を提供する日本人にも使いやすいように”簡潔な日本語”にしようと生まれたものです。
現在では、各地の自治体や国際交流協会などで防災情報や生活の情報を「やさしい日本語」で発信したり、外国人向けの相談窓口などに導入されたりと、外国人との意思疎通の手段として活用する動きが広がってきているようです。
そしてなんと、NHKではWEBサイト「NEWS WEB EASY」で「やさしい日本語」でのニュース配信をおこなっています。
また、消防庁では災害発生時の避難誘導などへの導入を検討しているとのこと。なかなか興味深いですね、「やさしい日本語」って。
では、実際に「やさしい日本語」とはどういうものなのか、ちょっとだけ紹介しましょう。
[普通の文章]
余震が起きるおそれもあるため、引き続き厳重に注意してください。
↓
[「やさしい日本語」で書き換えた文章] ※()はフリガナ
余震(よしん)<あとから来(く)る地震(じしん)>に 気(き)をつけて ください。
いかがですか? 見比べていただくと、いろいろと違いがありますね。
●伝えたい情報がシンプルに。
●難しい言葉がカンタンに♪補足説明があるところも。
●遠回し、あいまい表現がなくなってる!
●漢字には読み仮名が。
・・・などなど。ほかにも細かな違いがチラホラ。
あなたも「やさしい日本語」、知りたくなってきませんか?
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ぜひ読んでみてくださいね。
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